家づくりブログ
blog地震に備えた家作り 制震ダンパー「MAMORY(マモリー)」
改修工事には制震ダンパーMAMORY(マモリー)
前回の記事では耐震基準と制震ダンパーMIRAIE(ミライエ)についてご紹介しました。現行の耐震基準の住宅は、震度6強から7程度の大きな地震でも、1回では倒壊しないように設計されていますが、この耐震基準は、本震から住宅を守ることを想定しており、その後の繰り返す地震までは考慮されていません。もし本震で住宅の構造躯体がダメージを受けていれば、それに続く地震の規模や回数によっては倒壊する可能性も高まります。そこで制震技術を使い、地震の揺れを吸収し、「家」にダメージがいかないようにするMIRAIEをご紹介しました。
今回は同じ住友ゴム工業が取り扱っている制震ダンパー「MAMORY(マモリー)」についてご紹介していきます。大有工舎では新築のお客様にMIRAIEを標準装備(2階建ての場合)していますが、MIRAIEは新築のみ使用可能な商品です。そこで「改修」工事にも使用可能な制震部材がMAMORYになります。MAMORYは構造用面材や筋交いと併設できるため、住宅のデザインや間取りなど設計の自由度を損なうことなく設置できることが特徴です。昨今リフォーム需要が高まっている中、使用可能な制震ダンパーMAMORYについて詳しくご紹介していきます。
揺れを89%低減!
「耐震」 VS 「耐震」+「制震」
京都大学防災研究所において、2017年2月にしたMAMORYの性能検証実験をご紹介します。一戸建て住宅の約80%を占めると言われる二階建ての住宅に対して、熊本地震の前震級の揺れを1回、本震級の揺れを2回加える実験です。1回目に加えた揺れでは、現行の耐震基準で倒壊されないよう設計されていることもあり、MAMORYの装着有無で結果に大きな差はありませんでした。しかし2回目の揺れの後、MAMORY非装着の住宅は約34cm揺れ幅があり、その後倒壊。一方MAMORYを装着した住宅は約4cmしか揺れ幅がなく、建物の揺れを89%低減し、倒壊しないことが実証されました。(実験:住友ゴムHP 試験体:在来軸組工法、2階建、耐震等級3相当の壁量)
熊本地震 3,024回の余震を記録
(参照:熊本市HP 熊本地震の概要)
大きな地震がやってくるのは一度だけとは限らず、キラーパレス(地震の揺れが1~2秒間の周期となる揺れ方)や余震が発生した場合、家はダメージを蓄積し、次の揺れに耐えられない可能性があります。上の表のように熊本地震では4/14~4/30日の間に3,024回もの余震がありました。あくまでも倒壊しないというのは最低ラインで、1回の地震に耐えられるだけでなく余震からも家を守り、被害を最小限におさえる対策を考えていかなければならないのです。
MAMORYの秘密
ゴムの技術で地震から家を守る
MAMORYの性能の秘密は、内蔵されている「高減衰ゴム」にあります。同じ高さから、一般的なゴムのボールと、高減衰ゴムのボールを落としてみると、一般的なゴムのボールはよく跳ねるのに対し、高減衰ゴムのボールは全く跳ねません。高減衰ゴムが瞬時に運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収・発散するためです。高減衰ゴムが地震の振動エネルギーを熱に変換して吸収し、「揺れ」を吸収します。60年性能はほとんど変わらず、部品の交換や点検など、メンテナンスも必要ありません。(MIRAIEにも同じ高減衰ゴムが使用されています。)
高層ビルや橋の制振に使われる技術を住宅に転用した「MIRAIE(ミライエ)」「MAMORY(マモリー)」。北海道から沖縄まで、気候の異なる屋外でも多数使用される信頼性の高い素材です。MIRAIEとMAMORYを取り扱っているビルダーは兵庫県北部では大有工舎のみです。ご自宅の外壁や水回りなどリフォーム・改修を考えられる際、制震ダンパーの導入も一度ご検討してみてはいかがでしょうか?ご自宅の耐震・制震対策についてお考えの方は、お気軽に大有工舎へご相談ください。
・MIRAIEについての記事はこちら→地震に備えた家作り 制震ダンパー「MIRAIE」
・MIRAIEを使用したお家にお住まいの方のインタビュー記事や、MIRAIEの性能等、より詳しくお知りになりたい方はこちら→地震対策 制震ダンパーMIRAIE
・参考文献:MAMORY・MIRAIE住友ゴム工業株式会社HP、熊本市HP